小笠原諸島旅行記③〜二日目前編〜

「やったー!!やっと電波がつながったぞ!!!」



…夢か。

見知らぬ天井。
今自分がどこにいるのか分からなくなるという旅先でよくありがちな現象。
しかも今回は太平洋上を航行する船の中。
酔い止めの効果で、眠れないという事は無かったが、それでも夜中に何度も目が覚めた。
目が覚める直前に見ていた夢は、決まって携帯電話の電波が繋がるという内容。
前日の夕方に八丈島付近を通過してからというもの、電波の入らない状況が続いている。
普段、我々は電波の海の中で生活している訳で、電波が無い環境というのは地味にきつく
ボディーブローのようにじわじわと効いてくる。
2等寝台はカプセルホテルより一回り小さいくらいで、あまり良い環境とは言えない。
外洋に出た辺りから波が強くなったため、夜中、枕元に置いた荷物と一緒にズルズルと流されてしまうこともあった。
更には船底から不吉な異音も聞こえてくるし、何だか海底に引きずり込まれている気分だ。
ちなみに、部屋は均等に割り当てられているようだった。
2等寝台の場合は4部屋で一つの区画を成しているが、今回は乗船人数が少ない事もあり
一区画につき使用しているのは2部屋程度だった。
前おが丸の場合は先着順に詰め込まれるシステムで、最後の方の区画はガラガラという事もあったよう。


そんなこんなで夜は明けつつある。
デッキに上がり、朝日が昇るのを待つことにした。
外の空気はひんやりとしているものの、南の風を感じることが出来る。


朝日が昇りつつある。雲も適度にあっていい感じ。


朝日・夕日というのは太陽だけでは成立しない…と思う。


雲が太陽をより引き立てるのだ。


無事に昇りました。


さわやかな雰囲気。


心なしか海の色も濃くなってきた。

朝日を眺めたら、一度自分の部屋に戻る。
午前7時丁度に船内放送が流れる。
ちなみに、おが丸の消灯時間は22時〜よく7時まで。
消灯といっても真っ暗になるわけではなく、船内の案内所は深夜でも船員の人が待機している。
小笠原までの航路で中間地点に位置する鳥島がひとつのマイルストンになっているらしく
船内放送では、鳥島付近を定刻通り通過した旨の放送が流れた。
30分遅れで東京港を出港したが、遅れた分は取り戻したらしい。

7時30分からレストランで朝食が始まる。
形式上はバイキング…なのだが、一品ごとに料金が設定されており
旅館のようにまともな朝食をとろうとすると、結構な料金になってしまうのだ。
まあ船の上なので値段に関しては仕方ない部分もあるし、安く済まそうと思えば出来ない事もない。

朝食を済ませなんやかんやしていると次第に小笠原諸島に近づいていく。
まず見えてくるのが聟島列島


奇妙な岩が並ぶ。


何となく、遠くに来てしまった事を実感する。

そしていよいよ父島を含む、小笠原諸島が姿を現す。
この辺りようやく電波も復活。


姿は見えていても、船なのであと一時間くらいかかります。


島の様子が分かるくらいまで近づきました。


立体的な山肌。


自衛隊の船が停泊中。


手を振ったら振り返してくれました。


港が近づく


クルッと一回転して。


お出迎えの人達。


いよいよ接岸。


着きました。ここが…小笠原!

後半へ続く