小笠原諸島旅行記④〜三日目 前編〜

3日目の朝が来た。
と言っても島ではまだ2日目なので、なんだか24時間の時差がある感じでもある。
今日は父島の山の中にある「ハートロック」という眺めの良い場所まで行く予定になっている。
8時にツアーガイドの人が宿の前まで迎えに来てくれるそうなので、それまでに準備を済ませる事にした。
7時前に起床し、すぐ近くにあるスーパーマーケットで朝食と昼食と飲み物を買いに行く。
父島のスーパーマーケットはやたら早い時間から営業しているので、こういう時は非常にありがたい。
事前の情報によると、山の中は何も無いらしいので、とりあえず稲荷寿司とパンを買っていく。
水分はミネラルウォーター2Lとポカリスウェット500ml。片道三時間くらい掛かるらしいので、この位は必要だと思う。
それらを昨日土産物屋で買った小さいリュックサックに詰める。
東京から出発する際、リュックサックを持っていこうかと迷って結局持ってこなかったので
小さいリュックサックでも、あれば重宝すると思います。

そして8時きっかりにオガツアーのオガちゃんさんが白いワンボックスカーで迎えに来てくれた。
ちなみに父島には、明確な住所なるものは無く、建物名で皆どこか分かるらしい。
後部座席に乗せてもらい、登山口的な所へと向かう。
なぜ、登山口な所なのかというと
一般的な登山道のように神社とかズラッと並んだ土産物屋とかケーブルカーの乗り場とか
登山道を象徴する物は一切無いからである。
その登山口的な場所の近くに宿があり、そこに宿泊されているご夫婦も参加されるとの事。
オガちゃんさんは見た感じは感じの良い若者という感じで、30代にも見えなくないが
後部座席の目の前に張られたプロフィールを見ると結構お年を召されているらしい。
なお、「オガツアー」という屋号を最初見たとき「小笠原だからオガツアーって、なんて安直なネーミングなんだ」
と正直怒りが込み上げてきたが、よくよく話を聞くとなんと本名が小笠原さんとの事。
若いころ放浪の末に小笠原に辿り着き、そのまま定住したとの事だったが
小笠原自体を気に入ったのか、単に苗字と同じだったからなのかは不明。
そんなこんなで、登山道近くの駐車場に到着。
港との位置関係はというと、ちょうど島の反対側にあたる。
と言っても、車で10分くらいの距離。
父島自体があまり大きな島ではないが、そもそも島の南側大半が山であるため、車で移動できる範囲は少ない。
ご夫婦と合流し、今日の日程の説明・準備運動などを行い、いよいよ山へと向かう。
この日は平日だったので、普段は満員電車に揺られている時間だと考えると不思議な気分になる。
東京の朝の満員電車の対極にある場所が日本にあるとすれば、それは朝の父島(もしくは母島)な気がした。

続く