東京マラソン

私事ですが昨年東京マラソンに当選し、先日走ってきました。
僕も本番前は経験者の方が書かれたブログを参考にしてきたので
走り終わった今、僕もブログでレポートしてみようと思います。

〜当選から二日前まで〜

これまで四年連続で応募してきたが、初めて当選。
第一回からずっと落選している人もいるかもしれないし、割と運が良かったと思う。
ただ「当たったら真面目に練習すればいいや」という考えで
きちんと走っていたわけでもないし、10キロ以上走った事もないし
漠然とした不安だけが残る。
ただし本番は5ヶ月先なのであまり危機感は感じず。
練習は3ヶ月前まではいつも通り週2〜3回最高10キロくらいをランニング。
3ヶ月前からは週末は長い距離を走るようになる。
ただし心をへし折られる季節(真冬)になったので、練習の頻度は上がらず。
このころからいつも走っている公園の周回コースを大回りコースに変える。
長距離走るときも夜だと寒すぎるので午後から走るようになる。
しばらくすると徐々に練習の成果を感じるようになってきた。
しかし、長距離を走るようになると浮かび上がってきた問題があった。
そう。いわゆる20キロ問題である(勝手に名前つけた)
元々キロ5分で走れる走力と体力はあったが、20キロを走ると足が痛くて
いかんともしがたい状態になってしまう。
筋肉系の痛みではなくて、擦れとかに起因する痛みだ。
マッサージとかで何とかなるものでもない。
そんなこんなで本番までに走った最長距離は25キロくらいであった。
本当は30キロくらい走りたかったのだけれど。
ここでひとつの疑問が浮かんできた。
20キロくらいしか走れない奴が42.195キロ走れるのか?
更に、なんやかんやあって直前の一ヶ月で三週間全く走っていなかった期間があった事も大きかった。
一週間前に20キロを走ってなんとか練習不足をごまかすのであった。

〜本番前日〜

昼くらいに2キロ程度走って最終調整。
ゼッケンを受け取りに東京マラソンEXPOへ。
東京ビッグサイトで行われるこのイベントは、ゼッケンを受け取るだけでなく
協賛企業による展示会も行われている。
ゼッケンを受け取るとき係りの人から「何回目の出場ですか?」と聞かれた。
「初めて出ます」と答えたら意外そうな顔をしていたので
複数回出ている人も結構いるのかもしれない。
久々にゆりかもめに乗ってみようと思い新橋まで行ってみたが
以外に時間がかかり体力を消耗。
新橋でうどんを食べる。
新宿のスポーツ店に寄り、ランニング用ソックスと摺れ防止のクリームを買う。
足の痛み対策として藁にもすがる気持ちで買ってみたが、結果的には功を奏す事となる。
夕食はパスタ。
三日前から炭水化物中心の食事をしてきたが、さすがに飽きてきた。
スタート前にトイレに行きたくなるのを防ぐため、水分は控えめにする。
22時ごろ就寝。

〜当日朝からスタートまで〜

5時半ごろ起床。
朝食はおにぎり3個と味噌汁。
普段あまり朝食は食べないので少々苦しいが、無理やり詰め込む。
この日は雨も心配されたが、何とか小雨で止まっている模様。
なんだかんだで準備に時間がかかり7時半ごろ出発。
8時45分までにスタート位置にいる必要があるので急がねば。
8時過ぎに新宿駅到着。念のためトイレに行こうとしたがすでに長蛇の列であきらめる。
指定のゲートに急ぐ。Eブロックなので大体真ん中、都庁の真下のあたりだ。
ゲート前で着替えてアミノバイタルプロを飲む。ゲートで手荷物と金属探知機での検査。
その先で手荷物を預ける。
スタート位置は都庁前の道路だが、待機場所はその真下の道路となっていた。
薄暗く小雨の影響もあってじめっとしている。
トイレがたくさん並んでいるため、汗のにおいとまじりあって嫌な空気感だ。
とてもこれから走り出す雰囲気ではない。
階段を登ってスタート位置へ。すでにぎっしり詰まっていたのでブロックの最後尾に並ぶ。
都庁前のストレートの一番後ろだ。うっすらとスタート地点が見える。
スタート前の整列が8時45分まで。スタートが9時10分。
約25分間じっと待つことになる。
都知事のあいさつ、選手紹介。スタート時刻に国歌斉唱。
選手(と言うには少々大げさかもしれないが)として初めて聞く君が代になんだかジーンときてしまった。
初めてこれから走るのだという実感が沸く。
そしてスタート。スタートしてからも列が動き出すまでしばらく時間がかかる。
3〜4分でスタート地点へ。合唱団の歌が励ましてくれる。
決して引き返せない41.195kmが始まったのだ。


ゲートの前。ここから先は引き返せない。


スタート直前。

〜スタートから15キロ地点まで〜
スタート直後から周囲は早いペースで走っていた。
自分は体調をみつつペースを抑えて走る。
ていうか沿道の応援がすごい。事前に聞いてはいたけど。
市谷を過ぎたあたりで5キロ地点。
このとき自分のGPS時計と実際のタイムとのが剥離していることに気がつく。
GPS時計の方がだいぶ早いのだ。
つまり自分が思っているより遅いペースということになる。
これではいかんと少しペースを上げる。
幸い昨日買ったソックスがいい感じで、あまり苦しくなかった。
10キロ地点手前で皇居前広場
一度だけ皇居ランをしたことがあるが、この皇居前広場の直線はうんざりするほど長い。
しかし今日はさほどその長さを感じず走り抜けた。
日比谷で10キロ地点。
なんとか少しタイムを取り戻す。
ここから品川までほぼ一直線。
調子はすごく良い。
品川で15キロ。二回ある折り返しの一つ目。
冷静に考えると、新宿から品川まで走ったのだ。
これで十分だろって気がしなくもない。
この15キロは自己ベストだったかもしれない。
ただし調子が良かったのはここまで。
二個目の折り返し地点である浅草までの道のりを考えると一気に気持ちが沈んだ。

〜15キロから30キロ〜
品川から折り返して浅草へ。
途中で2回目のアミノ酸補給。
今回はアミノバイタル2個とパワーバーという小さいジェル3個を持って臨んだのだが
このときパワーバーを落としてしまって、軽くショックを受ける。
ただアミノ酸は良く効いてくれたみたいで一時的に体力を取り戻す。
増上寺の前で4時間のペースセッターの方々を発見。
とりあえず頑張ってついていく事に。
20キロ地点くらいで有楽町あたりのJRの高架をくぐる。
このあたりでペースを維持するのが難しくなり、足も痛んでくる。
一度止まってしまうと痛みが強くなり走るのが難しくなる
ということは練習でも何度か経験しているのでとりあえず30キロまでは頑張ってみる。
銀座あたりから沿道の応援も一層増えてきたが
そもそもなぜフルマラソンなんかに応募してしまったのかという
激しい後悔の念にかられた。なんたってあと20キロも走るのだ。
浅草まで指折り数える気持ちでキロ数を重ねていく。
曲がり角も多いのでだんだん方向感覚がなくなっていった。
大体28キロ地点で浅草。
雷門前の応援が一番すごいと聞いていたが、正直どうでもいい心境だった。
とりあえず30キロは走れそうだ。

〜30キロからゴール〜
30キロ走った時点でついに歩いてしまった。
足が限界だったのである。
とはいえ足のつま先が痛むだけで筋肉系はまだ大丈夫そうだ。
しばらく走って少し歩くを繰り返す。
このころから給水所のポカリスエットがめちゃくちゃおいしい事に気がつく。
これ以降給水所のポカリを目標に突き進むのであった。
コースも埋め立て地帯に変わった。
殺風景な風景が続く。
正直に言うとこの辺りの事はあまり覚えていない。
なぜ30キロ地点から10キロ以上走れたのかも正直よく分からない。
ただ、せっかく当たった東京マラソン
噛み締めるように走ったのだけは覚えている。
そんな心境でいると、気が付けば40キロを超えた。
あと少し。
あと少しだけど、まだいつくかの曲がり角があるらしい。
その曲がり角もクリアした先の最後の直線。
時計の表示には4時間18分の文字が。
なんとか4時間20分までにゴールしたいと思い、猛ダッシュ
ゴールに辿り着いた瞬間、まだこんなに走れるじゃねえか自分、と思った。

〜ゴールから〜
ゴール地点からよちよち歩くとしばらくしてタオルとかメダルとかバナナとか
カロリーメイトとかをもらえる。
3万人ゴール出来る広さがあるからという理由で東京ビッグサイトがゴール地点になったらしいが
そのかわり広すぎて歩くのがしんどい。
駅までのシャトルバスを出してくれてもいいくらいだ。
帰りはりんかい線で帰る。
大きな喜びも悲しみもなく帰る。
それがマラソンというスポーツなのだ、と思った。
途中で何か食べた気がするが覚えていない。
帰ってからすぐ寝た。

初マラソンだったけど、すんなり完走できたのは意外だった。
タイムももっと伸ばしたい。
来シーズンは何回かフルマラソン走ってみようと思う。
まあ、また20キロ過ぎで激しく後悔するんだろうけど。